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おいしい映画祭2024レポート中編

11月30日(土)ミッドランドスクエア シネマ2で始まった「おいしい映画祭2024」

おいしい映画祭総合司会

「おいしい映画祭2024」総合司会のヴィトルさんと七虹さん

総合司会を務めるのは今年もヴィトルさんと七虹さん

オープニングを華やかに盛り上げ、今年も「始まったな~」としみじみする時間もなく、さっそく安田淳一監督の『ごはん』の上映が始まります。この日初めて大きなスクリーンで観る『ごはん』。米作りに四苦八苦するヒカリの奮闘がスクリーンに焼きつけられ、その姿を応援しつつ、稲穂の美しさに心癒され、ラストの一杯に涙する。

見終わった後、「あ~ごはん食べたい!」と思ったの私だけじゃありませんよね?

そして、登壇直前、MCの「お写真大丈夫ですか~?」の問いかけに「大丈夫で~す!」と舞台袖から即答する沙倉さんが可愛すぎて、この日「はじめまして!」の方もファンになってしまったのでは?

そんな、安田淳一監督と俳優の沙倉ゆうのさんのトークの続きは レポート前編 をお読みください。

瑞々しい感性光る作品たちに思わず唸る審査員たち
コンペティションは学生の部も熱い

続いてプログラムは、学生の部のコンペティション上映へ

ヴィトルくんと涼夏さんが進行する中、優秀賞5作品が上映されました。

江口諒監督の『MATAYAKI』は学生の部の観客賞を受賞しました

最初に上映されたのは、観客賞に選ばれた江口諒監督の『MATAYAKI』小さな町中華で叉焼麺を巡るドラマが展開します。トークには、江口諒監督と姉妹役の島田桃花さん(姉役)と小川こはねさん(妹役)が登壇。島田さんは「助けが必要な人たちに出会った時に、この映画を思い出して、声をかける勇気を後押しできる作品になれば」と語りました。

ほか、『曇り味噌』、『Crevice』、『スフレ』、『おにぎり 〜食は彼女を変える〜』の全5作品を上映。

井出みずき監督の『スフレ』は学生の部のグランプリを獲得

学生の部グランプリに選出されたのは井出みずき監督の『スフレ』「初めて撮った作品」と明かす井出監督に審査員の丸山靖博さんが「ほんとうに初めて?」と目をまるくする場面も「全体の構成も会話の作り方も良かったし、初めて一緒に食べに行くシーンの間や友達との会話、最後も本当に良くできていて、すごく面白かった」と絶賛。

井出監督は、友達との会話の中から本作を着想「おいしいものを一緒に食べるのが楽しいという関係を描きたくて…」と明かし「インドカレーバージョンもあるので観て欲しい」とPR。次作は「天ぷら」で撮ろうと思って…と創作意欲をみなぎらせていました。

次作も楽しみですが、グランプリの『スフレ』と観客賞の『MATAYAKI』は、動画配信サービスlocipo(ロキポ)で独占無料配信中なので、ぜひ、チェックしてくださいね。

locipo(ロキポ)

学生の部 コンペティション 結果

JAあいち知多賞『曇り味噌』安川明里監督
にじ協同組合賞『おにぎり 〜食は彼女を変える〜』藤沢理子監督
観客賞『MATAYAKI』江口諒監督
グランプリ『スフレ』井出みずき監督

迷えるオトナ3人が愛おしいネコに癒される
ウオズミアミ原作「三日月とネコ」

2本目の招待作品は安達祐実さん、倉科カナさん、渡邊圭祐さんが、迷えるオトナ3人に扮し、ネコとの共同生活を送る『三日月とネコ』の上映。タイトルの通り、愛くるしいネコもたくさん登場しますが、安達祐実さん演じる灯(あかり)が作る料理がこれまた絶品ぞろい。スクリーンいっぱいに広がる「おいしい」と「かわいい」に身もだえする一作に仕上がっています。

劇中には、物語の舞台となる熊本名物「からし蓮根」をはじめ、餃子にトマト鍋におじやとおいしい料理のオンパレード。料理を担当しているのは俳優でフードコーディネーターの藤代太一さんです。

上映後のトークでは、監督の上村奈帆(かみむら なほ)さん、森谷雄(もりや たけし)プロデューサーが登場。進行役はアナウンサーの加藤千佳さんが務めました。

進行役の加藤千佳さん、上村奈帆監督、森谷雄プロデューサー

現在、ドラマの撮影真っ最中の上村監督と北海道、ロンドン、名古屋と映画祭を渡り歩く森谷P。ロンドンで購入したという靴下を履いて登場した森谷Pは、ロンドンでレバノン料理を食べたそうです。

そして上村監督は、2025年1月6日(月)より放送がスタートするドラマプレミア23「財閥復讐~兄嫁になった元嫁へ~」を撮影中。主演は、本作にも出演している渡邊圭祐さんと、瀧本美織さん。渡邊さんは、元妻や一族への復讐に燃える役どころ。新たな魅力を楽しめそうです。

トークは『三日月とネコ』の話へ。本作で、ちょっぴり不器用な精神科医師の鹿乃子を演じた倉科さんですが、実際は料理上手とのことで、現場ではいろいろアドバイスをしていたのだそう。

物語は、熊本地震をきっかけに出会った同じマンションに住む3人のおはなし。「震災に遭った夜、灯ちゃんが作ってくれたごはんをみんなで食べてあったかい気持ちになって、その輪が広がるところに料理があるという設定なので、そこは大事にしていました。俳優でフードコーディネーターの藤代さんが、見栄えやおいしさを意識しつつ、華やかにみえるよう作ってくださってたので、料理の部分はお任せして。でも、俳優部の方々は、喋りながら食べるシーンが多かったので大変だったと思います」と明かした上村監督。

すると森谷Pが「しかも結構長回しで撮影しているんです。長回しというのは、こうワンカットをず~っとカメラを回しながら撮影するんですけど、そこは大変だったと思います」と撮影の裏話を披露。

加藤「食べてる途中でNGが出ることもありますよね?そうすると…?」
上村監督「私たちは『何番』っていう言い方をしているんですけど、このシーンは何回分用意しておいてとか、多めに用意したり」
森谷P「監督すみません。このシーン(料理)は3回しかできません!みたいな」
上村監督「あとカット割りそうだったら多めに用意しときますけど、どうしますか?みたいな会話もあります」
森谷P「それでいうと、おいしい映画は撮るのが大変なんです」
MC「俳優さんたちも、お腹いっぱいになっちゃいますしね」
森谷P「だから食べるシーンがある前はお弁当を控えたりね。俳優さんたちは、ちゃんと空腹になるようキープしていました」
上村監督「それこそ倉科さんがからし蓮根を食べるシーンは、ほおばってるシーンでもあるので何テイクかやらせてもらった時に『すいません』って気持ちになりました。おいしいけど、辛かったりもするので…」

と食事シーンならではの苦労を語る場面も。撮影中「次は2番でお願いしま~す」「次がラストになりま~す」なんて会話が飛び交っているのかと思うと、それだけで現場の様子が目に浮かびます。

地震のシーンについて上村監督は「実際に原作者のウオズミアミ先生が熊本ご出身の方で、ご自身の体験やその時感じたことが漫画の中でも描かれていて、それを自分なりに想像させてもらった上で、温かい記憶として映画の中に残せたら…と撮っていました。本作では、年を重ねてもなお、人生を広げていく。それは素敵なことですよね」

上村奈帆監督はトーク中ずっとニコニコ。リベンジドラマが気になります

ほかネコが落ち着いて過ごせるように「ネコルーム」があったというエピソードや安達祐実さんが行くと「晴れる」という話、自他ともに認める雨男大泉洋さんのエピソードなど、今回も森谷Pがモノマネしながら披露してましたよ。そして、小林聡美さんのエピソードも「やっぱり猫が好き」なだけあり、やんちゃな猫もうまくコントロールしていたそうです。

恒例の抽選会では、SNSで「まいひめおじさん」の名でバズっている熊本のトマト農家さんが作る高級トマトジュースも登場。興味を持った方は、ぜひチェックしてみてください。 小森ファーム公式サイト

生きること、食への感謝
『WILL』が問いかける 食べること 生きること

映画祭1日目の最後を締めくくる作品は、俳優・東出昌大さんの狩猟ドキュメンタリー『WILL』

トークショーが始まる前から登壇し、前菜トークをし始めた東出昌大さんとエリザベス宮地監督。「おいしい」映画や 東出さんがやってるYouTubeチャンネルの話へ、確かに「鹿炒飯」も「猪の丸焼き」もおいしそうなんですよね。

そんな前菜トークをしているうちにトークショーの時間に。いよいよ本日のメインディッシュ「狩猟と食」トークスタートです。トークの進行は、映画祭プロデューサーの松岡ひとみが務めます。

「この映画は東出くんが、東京からどういう経緯で今住んでるところに移住したのか、そこではどういう生活が待っていたのかを1年間密着したドキュメンタリーになります。コロナ禍もあり、僕自身ちょうど自然を欲していたこともあって、2021年の11月ぐらいから撮りはじめました」と話す宮地監督

東出昌大さんが狩猟をはじめたきっかけは、役者として多忙な日々を送る中、食事の選択すらできないことに疑問を感じたから。「役者って、現場が続いて忙しい時は食べるものの選択もできないんです。朝昼晩とロケ弁が続いて、揚げ物は肌が荒れたり、太るからっていう理由で食べなかったりする中で『俺、何のために生きてんだっけ?』『何のために働いてんだっけ?』と感じて。もちろん「作品が良かった」って言っていただけるのは嬉しいんですけれども、その承認欲求だけでは食べていけないし、生きていけない。そういう虚無感を感じる中で、服部文祥さんに出会って、狩猟という『自分で肉をとって食べる』という原始的な行為に惹かれ、衝動にかられたし、自分の生活の根幹みたいなものができて、いい人生になったらいい役者になれるんじゃないかという思いもありました。それに、当時の僕は疲弊していた。仕事も将来もどうなるかわからない中、隣にザベスさんがいたことは、救いになっていたと思います。」

東出さんが狩猟を通して生きることや命を奪うことの意味に向き合う姿をカメラで捉えていった宮地監督は「映画ではあまり使ってないけど、単独忍び猟って、ひたすら山を歩いて獲物がいたら撃つというスタイルなんですけど、もうぽっちゃりのおじさんが隣にいると獲物が逃げちゃうんですね。足音でもすぐ気づかれちゃうので迷惑をおかけして…」と裏話を明かしました。

狩猟界は「おいしい」があふれてる
獲ったばかりの鹿刺しはめちゃめちゃうまい

「映画の中で東出くんが食べてるものと同じものはすべて食べてる」と明かした宮地監督「全部鮮明に記憶に残っているんです。食べるだけでなく、その前後にあるプロセスも『食事』。UberEATSで頼んだ5000円のうな重は確かにおいしいけど、自分が求めてる「おいしい」はそれじゃなくて。東出くんが食べてる映像をみたら、一緒に山を歩いたこともセットで思い出す。感動があるからめちゃくちゃ記憶に残ってるんだと思います」と言葉を続けました。

また、東出さんは、都会のシステムの中で「食」に対する意識が希薄になっていることを指摘し、狩猟で獲た肉を食べることで自然の恵みを実感したといいます。「僕ら猟師は、鹿刺しを食べるんですけど、それって自己責任(環境省はE型肝炎ウイルス、腸管出血性大腸菌や寄生虫による食中毒のリスクがあるので生食は推奨していない)なんです。でも、1日中、山の中を歩いて獲ったばかりの鹿の心臓の刺身とか生の鹿刺しって、めちゃめちゃうまいんですよ。狩猟肉を味わうのは経験も含めて豊かな味が感じられるし、山に行くといろんな味に出会えて、どの味も愛しくて、おいしいにあふれてます」と語りました。

すると宮地監督が「卵かけごはんもおいしいんですよ。東京の家で食べるのとは全然違う。撮影の準備とかしてると、つい食をないがしろにしがちだけど、やっぱりそういう時にも、ちゃんとごはんを食べなきゃいけないなって思いましたね」としみじみ。

人生でめちゃめちゃいい芝居したいし、めちゃめちゃいい映画作りたい
一生続けると思います。役者は

将来の夢を聞かれた東出さん「陶芸家が人生において1個めちゃめちゃ完璧な茶碗を作りたいって思うように、私も役者として、めちゃめちゃいい芝居したいし、いい映画作りたいって希求する思いはある。だから、役者は一生続けると思います。でも、それ以外のところで、狩猟を通して得た学びや経験から感じた『気づき』を実践することで、参加した人々が温かい気持ちになってくれたり、笑顔になるようなことができればいいなって。教えるといったらおこがましいけど「山の学校」の活動を通して、自然との付き合い方みたいなことを伝えていければいいなと思っています。」と目を輝かせながらこの先の展望を語りました。

上映後には、ZOI森の隠れ家ジビエレストランが用意した「ジビエの前菜ボックス」を買う人の姿も。遅くまでおつきあいいただいた観客のみなさま本当にありがとうございました!あとはワインがあれば…と思った方もいたのでは? ぜひ次回は、コラボメニュー実現するといいですね。

 

 

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後編に続く

 




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